東大オケ♪練習日記

東京大学音楽部管弦楽団の団員によるブログです。

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東京大学入学式で演奏しました! ~『ニュルンベルクのマイスタージンガー』について~

こんにちは、24ネッシーです。

さる4月13日、東大オケは毎年恒例の入学式での演奏を行いました。ご入学されたみなさん、おめでとうございます。入学式というみなさんの晴れ舞台にご一緒できて大変嬉しく思っております。



今日はそこで演奏した曲についてお話ししたいと思います。長いですが、最後まで読んで頂ければ幸いです。

「ニュルンベルクのマイスタージンガー」についての解説


式典のアナウンスや東大の公式発表では「ニュルンベルクのマイスタージンガー前奏曲」とされていますが、正しくは「楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』より第1幕への前奏曲」となります (実はほかにも前奏曲があるため、「前奏曲」だけでは不十分なのでした)。

さて、「ニュルンベルクのマイスタージンガー」というのはいかにも舌を噛みそうな曲名ですが、みなさんはこの意味をご存知でしょうか?
先ず、「ニュルンベルク」とはドイツのバイエルン州にある都市の名前です。そして「マイスタージンガー」というのは直訳すると「親方歌手」となりますが、この意味を正しく理解するには少々の背景知識が必要です。

中世ドイツには「マイスター」とよばれる独特の資格制度がありました (現在でもあります)。手工業の職人を志す者は、一定期間見習いとして修行を積み、実技試験を経て「マイスター」の資格を得なければ、開業することが許されなかったのです。「マイスター」は手工業の親方、職人の証であったのです。

現在のマイスター制度については、たとえばオルガン制作職マイスターの須藤宏氏のページが詳しいです。

「マイスター」は職人である、ということはなんとなくお分かりかと思いますが、なぜ彼らが「ジンガー」つまり歌手となったのでしょうか。

貴族の没落とともに、芸術の担い手は民衆に移ってゆき、職人であり同時に歌手でもある者たち、「マイスタージンガー」が生まれました。その中心となったニュルンベルクの「マイスタージンガー組合」で、特に代表的なのは靴屋の職人、ハンス・ザックス (1494-1576)でした。彼は数千もの「マイスターの調べ (Meisterton)」を作曲しました。(参考: Wikipedia - マイスタージンガー)

1867年に、リヒャルト・ワーグナーは、その「ニュルンベルクのマイスタージンガー」を題材にして、楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』(Die Meistersinger von Nürnberg)を作曲しました。着想から作曲まで20年を要した作品であり、実質的に彼の唯一の喜劇です。大分脚色がなされており、史実と異なる点もいくつかあるようですが (Wikipediaに詳しい)。

そのあらすじ―かなり、大胆な要約ですが―の、ちょうどいい分量のものを見つけたので、引用してみます。

美貌の娘エーファに恋をした青年騎士ワルターが、ヨハネ祭の歌合戦で優勝すれば彼女の花婿になれることを知り、奸計にもめげず、紆余曲折の末、最後には主人公靴屋の親方ハンス・ザックスの助けで、めでたく勝ちをわがものにでき二人は結ばれる、という筋書きです。

(当団「サマーコンサート1976」のプログラムの曲目解説より引用)



「第1幕への前奏曲」


全幕を上映すると約5時間にも及ぶ大作ですが、「第1幕への前奏曲」は、その楽劇の「いいとこどり」をした曲といえるでしょう。
元々オペラの序曲というのは、「オペラが始まりますよ」という合図であり、そのオペラの見せ所の旋律を組み合わせたものですから、それは当然といえます。

特筆すべきなのは、「第1幕への前奏曲」の最後の数十小節が、楽劇そのものの大団円、最後のシーンの音楽とほぼ同一であることです。かくして「第1幕への前奏曲」は最初でありながら最後を予感させる面白い役割を担っているとも考えられるのです。

とても面白い演出・歌手たちによる前半 (第1幕・第2幕)後半 (第3幕)の動画がYouTubeにありますので、興味を持たれた方はぜひ御覧ください。
全部で5時間の大作ですから、お忙しい方は序曲(1本めの動画の最初8分くらい)と、最後のシーン(2本めの動画の最後10分くらい)だけでも御覧いただけると、面白いのではないかと思います。

「知のプロフェッショナル」と芸術そして東大オケ


楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』は、音楽の専門家ではない「マイスター」たちによる高度な芸術が栄華を極めていた時代への讃歌であるといえるでしょう。
「マイスター」(職人)ではなくとも「知のプロフェッショナル」を目指す私たちにとって、やはり、高度な芸術の追求は重要なテーマです。そして教養学部長の式辞もまた、課外活動としての芸術の尊さについて触れられていたように感じます〔こんなに式辞に詳しいのは演奏が終わった後もずっとオーケストラ席に座って式典を見ていたからなのです…(笑)〕。

課外活動を重視するのは、好きなことに没頭するときに得られる高揚感を体験し、それが生きる喜びそのものといえることを知ってほしいからです。また、好きなことに徹底的に取り組み、努力していけば、やがてそれは、自分だけではなく、他の人にも喜びをもたらせるようになることもわかるでしょう。…(中略)…音楽の演奏であれば、自分が奏でている音楽がこんなにも美しいものなのだという思いが聴き手に伝わり、それが感動を呼び起こすのだといえるでしょう。

(平成27年4月13日 東京大学教養学部長 小川桂一郎教授
式辞・告辞集 平成27年度東京大学学部入学式 教養学部長式辞より引用)


東大オーケストラ(東京大学音楽部管弦楽団)への入団は、間違いなくみなさんにすばらしい4年間の芸術体験を約束することでしょう。ぜひ、新歓サイトを御覧のうえ、お気軽にご連絡ください。

ついでに言えば「タフ (練習は週3回)」で「グローバル (少なくとも日本全国を巡る演奏旅行があります)」なオケでもあります。
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